SKIP編集部がなぜマザールーフをつくったのか…
NPO法人マザールーフの誕生物語 Vol.21
兄弟で捨てられていたホワイトとチャーリー
城内にある鴻臚館跡展示館の崖のような所に子犬が5頭捨てられていると連絡があり、保護しようとスタッフと3人で出かけました。
見つけたのは2頭でした。5頭のうち3頭は犬好きで散歩に通っている人たちが保護して連れ帰ってくださったようでした。ということは残りの2頭は素早くて捕まりにくい犬たちだ、ということだろうと思いました。私たちも心して保護するようにしないと逃がすことになると考えました。3人で右から左から捕まえようと言いながら追っていくが、なかなか捕まらないのです。
おやつを食べさせて捕まえようとおやつ大作戦を行ってもおやつだけ食べて逃げるのです。もしも崖の方に逃げて行かれたら、私たちには追うことが厳しくなります。なにせ斜めになっているし、草や木が生えているので走れないし、立っているだけでも大変です。そこでミルクを飲ませようという作戦を立てました。ミルクをやると好きなようで、ガブガブ飲んでいるときはジッとしているので捕まえ安いだろうと。チャレンジしたら、まず1頭が捕まりました。後にチャーリーと名付けましたが、痩せていて少し小さかったので1時間くらいで保護することができました。でももう一方の子犬(ホワイトと名付けました)はすばしっこくてなかなか捕まえることができず、なんと2時間以上もかかりました。3人がかりでの保護で、ミルクを飲んでいる所を後ろからダウンを頭から被せて抱きついてです。噛まれないように、体ごと包めば驚いて動けなくなるんじゃないか?と期待したからでした。この作戦が見事に成功したのです。しかし、捕まえようとしてミルクを飲ませすぎたようで、保護した後、お腹を壊してしまい大変でした。
子犬たちは生後8ヵ月くらいで、実は4ヵ月ほどの頃から知っている犬たちでした。ご近所のある家庭で、不妊手術をせずに繁殖してしまったのです。その方は引っ越しをすることになり、「里親さんを探しましょう」と何度もお話ししましたが同意を得られず、結果として公園に捨てられたのです。
人に捨てられた子犬たちでしたが生まれた時から人と一緒にいたので、人をあまり怖がったりはしませんでした。子犬たちの問題は車に乗せている時でした。車が怖いのか車内では大暴れで脱糞脱尿をするのです。車の中が汚くなり大変なので、子犬を車に乗せるときは1頭ずつを人が抱っこして行くことにしていました。人の膝から胸にかけて布とペットシーツを敷いて排便排尿に備えていましたが、2頭で何度もするので大変です。しかし、病院では思ったより大人しいので、先生や動物病院に迷惑をかけずに済みました。最初は健康診断とノミダニ取りなどで、少ししてワクチンや去勢と、何度も病院へ行くことになったので車の中は悲惨なものでした。
2頭は兄弟ですが、性格は全く違います。おっとりしてどんな犬とも慣れると問題がなく一緒にいることができ、相手からも好感を持たれるホワイト。協調性があるのです。人間にも同様で本当に愛されるキャラなのです。ボランティアさんたちからもホワイトは人気が高く、一緒に散歩に行きたいとの申し出が多くあるほどです。ホワイトも嬉しいようで、ボランティアさんたちと一緒にボール遊びをしたりして、楽しくコミュニケーションが取れているようです。それに比べて神経質なチャーリーは、相性の悪い犬には歯を剥き出してウーッと唸り吠え付くのです。おっとりのホワイトはポッチャリしていますが、神経質なチャリーは痩せっぽっちです。 今では随分大人になりもう11歳になっているにも関わらす、嫌いな犬には今も唸っています。子犬の時に保護しても、ミックス犬はサイズがどのくらいの大きさになるかわからないため里親希望者は現れませんでした。しかし2頭は、スタッフたちに愛されて、今でも仲良く遊んだりして元気に暮らしています。
問題行動のあるラッキー 小さいのに鋭い歯で噛みつくのです
ラッキーは本当に小さいヨーキーでした。街中を1頭で歩いていたところを保護されたのです。保護した人が警察に届けたのです。そして引き取り手がなく、マザールーフに持ち込まれたのです。とても汚れていましたが、見た目は本当に可愛いヨーキーで、小さいので抱っこして可愛がりたいという気持ちになる犬でした。
ラッキーの場合はすぐに里親さんが決まりました。高齢のお父さんがいる家族がお父さんが元気になるように里親になりたいと希望され、家族の一員として迎え入れていただきました。その後、問題が発生しました。ラッキーが触っていると噛みつくというのです。きっとラッキーは、あんまり触られたりするのが好きな犬ではなかったようです。優しい家族の皆さんでしたが、マザールーフに帰ってくることになりました。食べ物に執着があるようで、食べているときに触ると噛みつきます。あまり触りすぎるのも好きではないようでした。性格を把握して、好きではないことをしなければ飼いやすい犬でしたが、里親には出すのをやめることにしました。 ラッキーは、見ているだけでも癒される犬でした。一緒に生活するようになると性格もだんだん落ち着いてきて、大人しくなってきて噛むこともなくなりました。1年過ぎると抱っこやトリミングもできるし、落ち着いた犬になり、高齢で亡くなるまで、みんなに可愛がられて暮らしていました。小型犬の高齢犬がどんな行動をするようになるのか(ぐるぐる円をかくように歩き回ったり、部屋の中の細い隙間に入って動けなくなったり、ご飯のときのスプーンや薬を飲むシリンジを噛んで離さなくなったり、大きな声で突然泣いたり…etc.)教えてくれた犬でもありました。
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